ベルリン日記(5)
さて、ベルリン4日目。
●時系列で書くべきなんだろうけれど、そこまで記憶を順に繰り出せないので、キーワードにとどめることにして。
<今日のポイント>
●自然の流れ。これは非常に重要なことだと思うんですね。師匠の倫理観は、インドの流れをくんでいるのか、それとも師匠独自のものなのか、オレにはよくわからないけれど、師匠の言っている「自然の流れ」というのは、「タイミング」とはまた違う、潮流、といったもっとスパンが広い、ということは話をしていて理解できた。
<この先、会議のネタ>
●国際会議。無料。昼食、フリードリンク。繰り返して、無料。ただし、英語。実は日本語が話せる方がいて、英語力を試されていた。受付で、「日本からの旅行者で、師匠がこちらにくるので、参加させてもらうことにしました。事前にWebサイトからは申し込んでいるのですが」と英語で言ったら、「ああ、sugawara-sanですね、ようこそ」といきなり日本語で返されて、気のせいだと思っていた(いや、それくらいの日本語なら話せる人だと思っていた)。が、後に、「いかがでしたか?」と日本語で話しかけられ、「なんだ、日本語話せるんじゃーん」と二人で大笑い。が、彼女曰く、「だって、あなたが英語なのに、私が日本語を話したら、どう考えても変でしょう?」と日本語で言われ、正論な指摘に何も言えなくなる。が、彼女の日本語もいくつかたどたどしい(助詞の使い方が若干)。まぁ、オレの英語は助詞だけじゃなくて、意味もなかなかわかってもらえないのだから、それはそれで「おあいこ」なのかもよ。(いや、負けてるって)
●5年ぶりの再会。師匠から呼ばれる名前がsugawara-sanからsugakenに変わった件について。師匠、そこまで偉くないです。オレ。
●ビジネスとシステムのスキマについて。システムをビジネスモデルに適用するには、当然「何か」が必要なんだけれど、それがうまく機能していないことが多いんだよね。使える技術なのに、マッチメイキングがうまくできていない。
●SEという職業は、アジア(ここに日本の特殊性は含まれているかどうかは不明)とヨーロッパでは、本質的に変わらないのだけれど、実は特徴がある件について。これは原本のPPTをもらうことにしたので、追って公開できる範囲で公開しようかな。英語だけれど、このプレゼンが一番おもしろかった。そのままでも十分理解できると思う。SE必見。
●インターネット監視カメラについて。イタリアの路面電車の映像がリアルタイム監視できる件について。QoSというよりも、VPNって感じがした。ただ、携帯電話の場合VPNについてはちょっとした工夫(これがウリ)が必要な件について。インターネットでの帯域制御は非常に難しいわけで、そこの工夫もちょっと聞きたかったな。
●決済システムについて。やっぱりSWIFTは強い。ZENGINなんて、彼らの目には入っていない。Japanese
SWIFT、で意味が通じて、Japanese
AT&TでNTTを理解してもらった点について。が、ドイツてもTelekomが一番強くて、T-mobileとかT-systemみたいな子会社が。ドコモとデータみたいな感じですかね。んー似てるね。
<フィリピンのメモ>
・フィリピンの脅威。アジアの主要なロジスティクスはフィリピンに移りつつある、らしい。フィリピン外務省の経済産業局の偉い人がそんなことをプレゼンしていた。名刺交換ができたのは、フィリピンの厚生労働省(+観光省)のDirectorさん。「今度はフィリピンに来てください」な勧誘が。まぁ、社交辞令なので。いや、国賓で招待してくれるということなのだろうか?いやー、それは困ったなぁ。安倍内閣の次にサプライズ入閣をする予定なので(おいこら)。
・5年間で通話料金が85%も下がった。ただし、metro-manilaのみって感じがする。
・シリコンバレーみたいなのも作ったよ。
・ネットワーク設備は各島にそろってます。セブ島なんかでも使えるよ。
・BPOに最適なところです!っていう宣伝。146カ所、50%の成長率で、雇用されているのは約9.3万人。
・地理的にはアジアの主要な場所には4時間以内でいけます。だから、物流の拠点にもなりつつあります。(個人的にはどうなんだろう?という疑問は日本人として持っているのだけれど、まぁそういうんだから聞いておくことにしておこう)
・アニメ産業では、日本の下請けもやってるよ(え?そうなの?見たことないんだけれど。一応、2Dも3Dも扱ってます、とか言ってたから、正しそうな気はするのだけれど、このあたりの見識はまったく持ち合わせていないので、教えて偉い人)
・で、ウェルネス、という観点からのポイントは、英語が話せる人がいます、アニメ産業みたいなニッチなところにも対応できます、ソフトウエアの開発レベルがあがってきています、遠隔医療とバックオフィスなら、フィリピンで引き受けます、な感じ。
<モバイル環境でのセキュリティ>
・セキュリティってのは、最終的には「プライバシーの保護」ってことにつきるのだと思う。どこまで個人情報を提供するのか、どこを匿名化するのか、ということが問題なのであって、利便性と堅さは反比例するよね。
・公開鍵暗号方式は確かに可用性は高いのだけれど、モバイル(ここでは携帯電話を指していることが多い)では、当然ながら処理性能(速度)に依存するし、ハード暗号化が良いことはわかってるんだけど、エネルギー消費(ジュールが単位だった)ってのを考えると、ハード暗号が最適、という訳でもないんだよね。あ、ついでに小型の暗号装置が必要だよね。(と、ここまでは聞いていたのだが、結局コストという概念についてはふれられていなかった)。
・暗号処理性能の比較表に、ジュールが単位として出ていたこと。熱量を見る、ということですか。携帯電話なんかでやろうとしたら、確かに重要な問題ではあります。が、そういう視点があったことに、目から鱗。ぽろり。いや、そういう意味じゃなくて。
他はCDに収録されているようなので、これはこれで後で読み返してみることにする。言いたいことはつかんだ(つもり)なのだけれど、後で誤解があるといけないし。
<夕食>
●夕食はイタリアン。イタリア語とドイツ語と日本語が話せるドイツ人の方、師匠、そして日本からいらしたビジネスマンと会食形式。そのドイツの方は三菱重工につとめていたとかで、日本語が非常に丁寧。浅草が好きだ、って言ってたから、まぁ、本質的には日本が好きな外国人、的なところなのかもしれないけれど。ただ、ビジネスとしてのパワーディナー(ビジネスディナー)と、国際的な会話の中間くらいで、これはこれで十分にオレの中では刺激になった。
●ピルスナーをグラスに半分くらいいただく。うん、おいしいじゃん。うまー。そんなに飲めなかったけれど、日本のビールより飲みやすい気がする。若干甘みを感じるところとか。
●移動中は寝るのが標準だと思っていたら、ドイツ人とインド人は「いやー、十分に仕事ができたよ」と、ワーカホリックといえば語弊があるのだけれど、勢いを感じた。日本人は仕事人間、というのは、もう過去の考え方なのかもよ?
●記名と署名と捺印について。偽造の難易度の差じゃないか?な観点だけじゃないことについて。そう、引き出しを開けて「ちょっと失礼」ができるかどうか。
●師匠がウランバートルのインド料理店に行って、カレーを注文したら、肉じゃがみたいな「カレーとはいえない」煮物がでてきて、さすがの師匠もくえなかったらしい。師匠、ワールドワイドであります。
●終わったら22時。トラムは20分間隔で動いているので、普通に何事もないように現地の人になりすましていたこと。が、トラムを降りたら、車を運転していた人に「Linden
Centerはどの道を行けばよいのですか?」といきなり聞かれてしまって、しょうがなく「旅行できているだけなんです。ごめんなさい」と英語で答えたら、「ああ、そりゃしょうがないねぇ」な顔をされてしまった。っていうか、危険を避けるため、音楽をかけてないイヤホンをして、ドイツに住んでる日本人、みたいな雰囲気を装ってたんだから、仕様通り運用対処。
●帰りのトラムに乗っていたおっさんが、気がついたら失禁していた件について。
●ドイツでのイケメンは、電車では座らない件。仮に座っていても、すっと立ち上がって席を譲る件。そういう文化は、是非とも日本でも見習いたいものであります。
●コインは自販機でこするとうまくいく、というのがおまじないなのかどうか。日本では見られない光景であります。
●アニメ。2種類あった。クロマティ高校のドイツ語版は、書き文字が「ザザー」とか日本語になっていて、字幕だけがドイツ語だったのに、コナンはそこにドイツ語の効果音がかかれていて、本当にドイツ語版になってしまっている件について。デスノートとか、最近の漫画が多くて、ドラえもんがまったくいなかった。
●すごい人は、みんな仙台をはなれてしまったよ、と師匠に言われて、そこに俺の名前があった件ついて。師匠に心から感謝。
●インド人もびっくり@ベルリン。世界は広い。師匠も驚く話のネタがあった自分に成長を感じてみたり。
●SIから哲学を考える件。今回のプレゼンにも、遠隔医療みたいな話が出ていたのだけれど、それが本当に問題の解決になっているのか?医師不足は解決してないよね?システムはツールであって、実は「社会へのパッチ」を当てているのに過ぎないのではないか?という、ちょっと考える話を、英語と日本語で、師匠と話していた。師匠、オレもここまで考えられるようになりました。
●たとえば、心電図。フラットになったら、それで終わり、ということはわかるんだけれど、それは機械の判断であって、人間の倫理観を機械で制御されるのは、ひょっとして正しいことなのだろうか?とか師匠とディスカッション。数字を見る、機械を見るのではなく、患者を診るのが正しいよね、そのためのツールとして機械があるわけで。難しい問題かもしれないけれど、師匠のお兄さんがお医者さんとかで、触診と会話を重視した医療がいつの間にか、機械がなければ何もできない医者が増えてきた、と嘆いていたとか。「そのうち、飛行機の金属探知ゲートみたいなのを通過すれば、あなたのここ、ここ、ここが悪いです。出口には薬が用意してあります」みたいなことを言い出す病院が出てくるのじゃないだろうか」と師匠。うーん、それって、病院っていうよりも、「患者再生工場」みたいな気がして、テクノロジーとは若干違う気がする。
●テクノロジーが「できる」と「できない」の2つに分かれることはわかるのだけれど、倫理観として「やる」のか「やらない」のか、というのは別の問題。ただ、「なぜNGなのか」という議論において勝たなければいけない、というのは、風潮として違う気がする、というのは師匠と一致した考え方。「(親からもらった、という意味で)体を大切にするのだけれど、再生医療が本当に普及したら、この足、気に入らないから交換する、みたいなのができてくるわけで、それは倫理観として「やる」「やらない」以前の問題として、技術的に「できてしまう」ということの意味について。
●産業の成熟度。ITと呼ばれる業界の成熟は、ここ30年。自動車が100年の歴史を持っているのに比べると、普及度に成熟度がついてきていない。交通ルールができて、免許ができて、車検ができて、信号ができた。では、ネットワークは?車検はウイルススキャナみたいな?では、交通ルールは?技術的な通信方式はできているけれど、赤信号を通過してもよい、というのは「技術的には可能」だけれど「ルールに反する」わけだ。それをどのように解釈するのか。「なぜ赤信号を無視してはいけないのだ?」という議論に勝たなければ、赤信号は無視しても良い、という社会の崩壊につながりかねない点。ただ、ネットワークについては、車みたいに目で見てわかるようなものではないので、本当にセキュリティというのは難しい問題。ただ、自動車みたいに100年もかかることはないと思うのだけれど、これにはそれなりの時間がかかると思う。それは、もちろん技術的な問題ではなくて、倫理的な問題というか、利用者のモラルというか。
●実は、インド人に言わせれば、「日本のカレーは別物だけど、まぁおいしいよ」という件について。
●ベルリンの壁は、見所がもうひとつあった件について。
●ドイツの中小系SIにおけるビジネスチャンスをちょっとだけ見られた件について。これはこれでおもしろかった。
●NO PLAN。だって、旅行者なんだもん。明日どうしますか?じゃないって。オレはビジネスで来たんじゃないんだから。ビジネスなら、上司がきっと許可しませんって。
●JUST A touristなんだけど、10年前の記憶がよみがえってきた件について。師匠と話をすると、それだけで刺激的なのだけれど、師匠はテクニカルな問題でも、哲学的な問題でも、ものすごく深い見識を持っている。すごい。やっぱりオレが師匠と見込んだだけのことはある(違)。
●師匠から見る、オレのいる会社の感想が、見事に経営陣の見解と一致していた件について。すげー、やっぱり師匠。
●師匠を英語にすると、TEACHERになってしまう件について。「吾輩は猫である」が、「I am a cat, but I have no
name.」になってしまうのと同じなのだろうか。ちょっと違う気はするけれど。
<他のネタ>
●日本から持って行った洗濯用洗剤の泡立ちについて。まったく泡立たない。水の違いなんだろうか。ミネラル豊富だから、先に化学反応してしまって、汚れに反応してくれるのが遅い。といって、大量に使ったところで意味はない。ドイツの石けんの泡立ち方といったら、これがすごい。というか、アルカリが強いのか、「ぬるぬる」がなかなかとれない。これはこれでおもしろい実体験。
●ベルリンのキャラクターは熊。が、動物の熊は見たことがない。旗とか、キャラクターになってしまっている。で。だいたい、着ぐるみ人形みたいな大きさが標準的な大きさみたい。いろいろアートされていて、それはそれでキャンバスが統一されているだけで、どういうデザインなのかは、かなり適当。「これが本物」ってのは見てない。ピーポ君、みたいなもんですね(違)。
●ビリーズブートキャンプ、という言葉をまったく聞きません。エクササイズなんてものは、ぜーんぜん聞きません。日本だけの怪現象みたいにも見える。
<で、5日目>
朝食。やっぱり、うまー。キュウリが太いんだよ、いやマジで。カルチャーショックを受けた。トイレットペーパーの芯くらいあるんだってば。トマトは日本と変わらないんだけど、キュウリが。キュウリが。が、あの「キュウリドリンク」の味とは違ったな。ちょっと薄味というか、大味。大きいと大味、というのは、正しいのかも。ソーセージ、ウマー。ソーセージ、ウマー。日本に持って帰れないのが非常に残念であります。
あ、穴の開いたチーズがスライスされていたので、取ってみた。そう、ジェリーが好きだった、あの穴あきチーズ。スライスされていたから、普通の四角い座布団みたいな形になっていたけれど、穴がある。オレの見た目は、ジェリーというよりもトムではあるのだけれど、一応、ネズミの気持ちになって食べてみた。
・・・・んー、微妙。酸味はまったくなくて、苦みを若干感じる。スライスチーズを十分に乾燥させた感じ?ひょっとしたら、「穴の開いたチーズ」は他にもあるのかもしれないし、ジェリーが好きだったチーズではないのかもしれないけれど、ちょっと量は食えないかな。ネズミほど食えない。もちろん、(ジェリーのチーズかどうかは判断しないとして)普通に朝食に並んでいるのだから、オレはジェリーみたいには食えなかったけど、ジェリーみたいに食べる人もいるのかもしれない。いや、食べ方が間違っていたのか?なんか、こう、穴を避けて何かをトッピングするとか。でも、ジェリーはそのまま6ピースに分かれた感じのチーズを食ってたよなぁ・・・そうか、切り方が違うんだ。スライスではジェリーチーズ(勝手に命名)とは言わないのか(違)。
いや、ここの朝食は普通に食えるので、がっつり食って、昼と夜の飯代を節約。カネがないわけではないのだけれど、金にものを言わせるような食事はしたくないし。少なくともホテルで朝食さえ食べることができれば、その後は食わなくてもなんとかなるわけだし。リスク回避のための朝食(っておい)がうまい。なんの計画もない旅行なのに、なにか歯車がいい感じにかみ合っているような気がします。sugaken2.5みたいな。本当は3.0でも良いのだけれど、日本に帰ったら、というのがちょっと引っかかりつつあり、実は旅行から帰ってきても、その余韻に浸れることが重要なことだと思ったり。だから、0.5だけアップ。
あ、アンペルマンに新種発見。昨日、夕食の前に「アンペルマンに会いに来た」といったら、ドイツ人に驚かれた。「有名なんですか?ドイツ人でもなかなか知らないですよ」とかなんとか。青と赤の他に、黄色があるんだよ。いや、正しくは、黄色地に黒いアンペルマン。一応、青の親戚なんだけど、これを見かけるのはなかなかない。点滅信号だから、写真も難しい。ううむ。ちなみに、東側は太め、西側は細め。黄色をなんとかして写真に納めなければ。
さて、今日は師匠と半日観光。師匠、オレのために時間を取ってくれた。「おまえとベルリン散策ってのも、悪くないだろう?」えーっと、師匠に拾ってもらわなければ、オレ、どんな職業に就いていたのか、もうわかりません。でも、師匠に出会うことができて、さらに師匠にベルリンで再会できて、観光までしてくれるとは、なんとも光栄なことであります。ベルリンがベルリンじゃなくても。えーっと、とりあえず100番バスで半日観光ってのはいかがでしょうか?
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